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「言葉の断片/4」

〜をすることです。

 すでに発表した絵物語「言葉の断片/1〜3」では、僭越なる作者がしゃしゃり出て、「言葉の断片」に触発された物語を勝手に語り始めたわけですが、すでに申し上げたようにこの物語には与えられた筋書きというものはありません。言い換えてみれば、番号がつけられて並んだ絵画にも本来は順番もないということです。ですからこれは「たまたま遭遇した絵画に触発されてこぼれた言葉の集積」というわけです。
 そこで今回は、放っておけばすぐにしゃべり出す作者に自重を促し、みなさんご自身にお好きな物語を語っていただこうという段取りです。

 「芸術的体験」というものは、みなさん一人ひとりの創造的な物語を「表現行為」し、かつ反省的に「表現経験」するもの 、あるいはその逆に「表現経験」を反省的に「表現行為」するものとしてあるはずですから、芸術体験のきっかけになるものは何であれ、その人に「何かをいわずにはいられない」という表現意欲がなければなにも始まりません。

 というわけで、お節介な作者はこの「言葉の断片」という絵物語において、みなさんが「何かをいわずにはいられない」という表現意欲を喚起するために、絵画の中に「言葉の断片」をちりばめたというわけです。しかも、いつも「何かをいわずにはいられない」作者が、どんな言葉遊びにも対応しうる「何でもありの物語」にかすかな構文を垣間見せる程度のささやかな親切に、かろうじて踏みとどまることが出来たと自画自賛。

 「言葉の断片? なんじゃこれは…」とお思いのみなさん、ぜひ「何かをいわずにはいられない」みなさんに変身して、芸術の迷宮へと旅立たれることをお勧めいたします。


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