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「言葉の断片/3」

 〜変容するオジサン

 相変わらず絵画の中に放置された言葉の断片、今回はそんな言葉を拾い集めてオジサンが絵画の中を冒険する段取りです。
 オジサンにとって次々に現れる絵画との遭遇は、画面に放置された文字を拾い集めそんな文字を言葉として語り継いでいくことになりますが、自分では気づかないワンパターンに埋没しているオジサンのことですから、これがすでに冒険といえる事件なのです。
 文字はかろうじて構文の輪郭を垣間見せる程度の単語といった有様。誰の所有にもならない単語は、絵画世界そのものをも誰かの手に委ねようとしているかのように思われます。すると、性分としてはすぐにその気になりやすいオジサンのことですから、まるで誰かに期待されているかのように絵画世界に参入し、放置されていた絵画世界そのものを新たなる事件として語り起こしていくのです。
 気がつけば、誰にでも期待されれば何にでもなりたがるオジサンの性格が、オジサンの変容をもたらしたのでしょうか… 
 事態は混沌としています。


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